団信と連帯債務。一時所得のことも忘れずに。

◇ 団体信用生命保険(団信)とは

一般の生命保険は、万一のことがあった場合に、残された家族の生活費や将来的な支出全般に備えるためのものですが、団信特約制度は、債務者が死亡や高度障害になった場合に家族に住宅ローンを残さないための、住宅ローン専用の保障制度です。

◇ 団信保険の契約者

・団信は金融機関が保険契約者及び保険金受取人となり、債務者を被保険者とするので、債務者に保険料の支払義務はありません。

・万一の際の保険金は金融機関が受け取るという意味で、完済するのは債務者(その相続人)ではなく、金融機関側になります。但し、抵当権の抹消等は、金融機関から発行された完済通知書をもって相続人側が行うことになります。

・保険契約者は金融機関なので、債務者が保険料の税額控除をすることはできません。

◇ 連帯債務・連帯保証・ペアローンの違い

・連帯債務

1つの住宅ローンに対し、夫婦等の2人が共同で債務の責任を負います。

債務に対して「全体の返済責任」を夫婦が連帯して負うので、自分の負担割合だけしか返済の責任がないというわけではありません。

連帯債務者としては直系の親子や夫婦は認められていますが、そうでない他人、内縁の夫婦、兄弟などは通常認められません。その理由は、債務者死亡時の相続問題にあります。連帯債務とする場合、通常、住宅の持ち分を共有する形をとりますが、親子や夫婦以外の関係で不動産を共有すると、どちらかが死亡した場合、債務と相続の処理が面倒なことになるためです。

抵当権の設定にあたって、債務者は2名が連名で登記されます。

双方が債務者となるため、住宅ローン控除は持ち分に応じてそれぞれが受けられます。

・連帯保証

住宅ローンの名義人は主債務者1人で、返済責任も主債務者が1人で負います。但し、万一返済が滞ったときは、連帯保証人にも返済の責任が生じます。

抵当権設定時の債務者は、主債務者1人だけ登記されます。

住宅ローン控除も、主債務者一人が対象になります。

・ペアローン

夫婦がそれぞれ独立した住宅ローンを組みます。同じ1軒の家を建てるために2本の住宅ローンを組むということです。契約が別々であり、夫婦がそれぞれ契約した住宅ローンに対して主債務を負います。また、お互いが相手の住宅ローンの連帯保証人兼担保提供者になります。

どちらかに不幸があっても、その債務はそれぞれの団信で返済できるため、残された債務者の返済負担は増加しません。ローン契約は2本になりますが、債務者と金融機関双方に団信のメリットがあります。特に、2人の収入にあまり差がなく、合計収入で可能なだけ借りる場合などは、この方式を利用してもらうほうが良い選択となります。

住宅ローン控除はそれぞれが受けられます。

◇ 連帯債務-団信=一時所得

・収入合算者を失うリスク

収入合算などの理由で連帯債務者がいる場合、住宅の所有形態は主債務者と連帯債務者との共有が前提となります。また、連帯債務者は主債務者と連帯して債務を負担しますが、団信は基本的に主債務者にしかかけられません。

主債務者に万一のことがあった場合は債務全体をカバーできますが、連帯債務者側に万一のことがあると、主債務者がすべての債務を負担するか、別の相続人が連帯債務者になり返済に加わることになります。

一般的には連帯債務者は団信に加入していないため、万一失ってしまうと、共有していた部分の相続や、その後の返済等、対応は簡単な手続きでは済みません。そのためには、連帯債務者にも任意の生命保険に加入してもらい、万一の場合はその保険金を債務に内入れすることで、主債務者1人でも返済を継続できるような態勢を整えておく必要があります。

・債務消滅の一時所得

主債務者が万が一の時、団信の適用で全債務が完済されるため、それによって連帯債務者の支払い義務がなくなるという経済的な利益が生じます。これは税務上、一時所得となり、所得税の課税対象となります。

新機構団信「デュエット」(夫婦連生団信)

  • ご夫婦のどちらか一方の加入者が死亡または所定の高度障害状態になられた場合には、住宅の持分や返済額等にかかわらず、残りの住宅ローンが全額弁済され、ローンの返済義務は残りません。
  • ご夫婦には、戸籍上の夫婦のほか、内縁関係にある方、婚約関係にある方、同性パートナーの方を含みます。
  • 通常の団信の場合、保険料は金利に含まれます。夫婦連生型、新3大疾病付機構団信の場合は下記金利だけ上乗せすれば加入することができます。
加入する団体信用生命保険融資金利
新機構団信新機構団信付きの融資金利
新機構団信(「デュエット」(夫婦連生団信))新機構団信付きの融資金利+0.18%
新3大疾病付機構団信新機構団信付きの融資金利+0.24%

A.B.I staff-EBINA

【フラット35】取扱金融機関代理店/A.B.I(株) 金融法人部 所属スタッフ 

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